育成年代クラブをビジネスにする弊害
前回
クラブのビジョン、コンセプトから
http://japanfootball.hatenablog.com/entry/2016/01/22/104233前々回
戦術的ピリオダイゼーションという理論、概念
とピリオダイゼーションから、プレーモデルの話、また、それに繋がって、クラブのコンセプトの話をしました。
クラブのビジョン、コンセプトを元に、選手の獲得が始まる。
これは、単に、
セレクションをする
スカウトする
というだけの選択肢ではありません。
もう一つの可能性としては、
セレクションも、スカウトもしない
「希望者で、集まった人間でチームを作る」
という選択肢が存在します。
どの選択肢を選ぶのか、ということも、また、
『クラブのビジョン、コンセプトに基づいて行われる』
ということになります。
ここで、まず、育成年代クラブをビジネスとする弊害の具体的な話の前に、前提となる、
『サッカーの楽しみ方』
の話からしたいと思います。
『サッカー』
というのは、
『スポーツ』
であり、
『遊び』
です。
『楽しい』
ことが、第一です。
その中から、プロ選手を目指して努力する人も、中にはいます。
『全員』
が、プロ選手を目指さなければならないわけではありません。
何もそんなことを目指さなくても、一年を通じて、サッカーという、スポーツ、遊びを楽しめれば、いいのです。
プロを目指す選手はそのコンセプトを持って運営されているクラブに集まればいいのです。
その『サッカーを、楽しむ』ということの中には、
『ゲームに出場する』
ということが必ず含まれるはずです。
だって、サッカーって、一番楽しみに溢れているのはゲームです。
そして、さらにそれを楽しむには、
『年間を通じたリーグ戦』
が、必要です。
試合に負けても、次があり、カテゴリが分かれてることによって、昇格降格があり、対戦相手に応じて工夫し…
リーグ戦には、楽しさ満点です。
トーナメントでは、負けたら終わってしまいます。どんな相手が来るのか、作戦を練って、楽しむことも難しいです。
こういった中で、例えば一つの年間のリーグ戦に対して、1試合しか出られない、残り10分しか毎回出られない…
そうなったら、自分が選手だったら楽しいですか??
楽しめますか??
サッカーをプレーしたくて、チームに入っても、試合には出られない。
つまらないですよね。
ということは、
サッカーを『楽しむ』
ためには、1チームあたり(リーグ戦に参加できる)の、最適な人数というものが存在するはずです。
ですが、前述の、この
育成年代メインのサッカークラブの収益構造
をご覧いただければ、と思いますが、育成年代がメインとする、サッカークラブというのは
『収入を増やすために』
コーチ一人当たりの人数を増やそうとします。
それは当然です。
『コーチが』生活していきたいのですから。
そうなると、リーグ戦1チームに対して、抱える人数は、どんどん増えていきます。
そうなると出場時間は減り、また、前回の
戦術的ピリオダイゼーションという理論、概念
で、話したような、プレーモデルに沿った、選手の育成というものが、難しくなっていきます。
選手一人一人の成長スピードは落ち込み、また、プレーモデルが定まらないことにより、チームとしての、脳内ビジョンの共有が出来ず、サッカーを
『チームとして』
『楽しむ』
ことが難しくなってしまいます。
これはサッカーの『楽しみ方』
を選手から奪っていることになりますし、
『成長の可能性』
の芽を摘んでいることになります。
育成年代を収益の柱とし、ビジネスとしていくことというのは、選手に対して、こういった弊害があるのです。
根本にあるのは、
サッカーという、スポーツ、遊びの楽しみ方が、日本では浸透していない
ことであるように思います。
例えばドイツのアマチュアクラブの話を聞くと、純粋に、『楽しそうだなぁ』と思います。