日本でプロサッカーコーチをやってみた

サッカーコーチという「仕事」に興味のある人に向けて、8年間サッカーコーチを職業としてきた人間の情報を発信していきます

サッカー協会の言う『japan's way』とは何か?

前回はオリンピック代表から見た、プレーモデルの話をしました。


JFA公認ライセンスを取得された方は、知っているでしょう。

JAPAN'S WAY


一体、何を目指しているのか、明確に理解して、落とし込めてる人は果たして日本に何人いるのでしょうか?


そして、それを主張している人に、まずは聞きたいのですが、日本よりワールドカップで結果を残している国に、その国独自の色が、明確に見える、国、それを貫いている、国、というのは、いくつ存在しているのでしょうか。

前回ワールドカップでは、オランダでさえ、これまでの戦いを変えています。

フランスのサッカーって?


アルゼンチンは?



毎回、同じサッカーをしているのでしょうか?

絶対にそんなことはありません。


プレーモデルは、



でも、わかる通り、チームのコンセプト、監督の頭にあるプレーモデル、選手からもたらされるプレーモデルそれぞれによって、見えてきます。


チームのコンセプトに沿うようなチーム作りをするために、監督の持つプレーモデルばかりに気を取られても、チームが勝つために最適なプレーモデルを構築出来るとは限りません。

あくまで、選手のもたらす、プレーモデルが、関係してくることを忘れてはいけません。


大事なのは、選手の持つプレーモデル、であり、チームの持つコンセプト、です。


『ワールドカップで結果をのこす』


これが一番のチームコンセプトであるならば、それに応じたプレーモデルを選択すべきだし、一番結果を残せるようなメンバーを揃えて、そこからプレーモデルを構築すべきです。


そういう意味で、今回のオリンピック代表が、『本戦出場』がコンセプトのチームだとしたら、メンバー選考から戦い方までは間違っていないのかもしれません。



でも、今回のオリンピック代表の見せたプレーモデルは、


JAPAN'S WAY


なのでしょうか?


僕は、JAPAN'S WAY

というものを目指すことは、『美学』とか、『カッコイイ』

とか、そういう、ロマン?のようなものでは無くて、

日本がワールドカップで勝ち上がるために

必要なものだと思っています。


ピリオダイゼーションのところでも話しましたが、チームとしての、ビジョンを共有し、求められる戦術コンセプトが、共有されることで、選手は様々なことを、一貫した指導方針の中で、積み上げていくことができます。

JAPAN'S WAYを明確にし、そこに向けて日本サッカー界が動いていく、ということは、それによって、選手の戦術コンセプトは研ぎ澄まされ、結果的に、日本がチームとして一番、力を発揮できる形で、その力を最大化していく、という、サイクルにつながると信じています。



しかしながら、その構築をしていくこととともに、前述したように、代表がそのプレーモデルで実際にプレーする、ということは、世界を見渡しても稀なことであり、ワールドカップで、

『自分たちのサッカーを追求して、負けてもいい』
ということは、おそらくはない訳なので、

当面は、選手のもつ力、プレーモデルを優先した戦い方をする術、すなわち、戦術的な幅を持つことも同時に必要なことだと思います。

今回のオリンピック代表を見ても、この力が本当にあるとは思えない試合でした。不足しているものが沢山あると思います。

これまで以上に、戦術的ベースを身につけることが必要だと思います。

各国のように、ときにはいわゆるJAPAN'S WAYとは違う戦い方で、ベストな力を発揮できる準備も必要だということです




『選手の持つプレーモデルが大事』



と、話しましたが、ここで、戦える選手=JAPAN'S WAY
に沿ったメンバーである必要があります。

ですが、現実には、戦えるメンバーだけれども、JAPAN'S WAYにはそぐわない選手もいるわけで、


この部分に対して協会ができるのは、いわゆる、


戦える選手=JAPAN'S WAYに沿った能力の持ち主


を実現するために、


・JAPAN'S WAYとは、どのようなプレーモデルなのか?を明確にすること


・そのためにどのような戦術コンセプトを身につけて、どのような能力がある選手を育成していきたいのか、というものを明確にすること

・そのために現場に求めたいことを明確にすること


・そのための環境を整えること


ではないかと思います。


よく聞く、

『人もボールも動くサッカー』

なのであれば、前線にはどのような選手が必要で、中盤には?ディフェンスラインには?ということが見えてくるはずです。

それに伴って、そういったプレーモデルでプレーをするために必要な、戦術コンセプトが見えてくるはずですし、それを共有すること、それから、それを実現していける、環境作り
が必要になってくると思います


代表という、1つのチーム作りを行っていく上で、協会ができることは限られていますが、だからこそ、協会が、しっかりとしたコンセプトを打ち出して、本気で取り組んでいった国が、結果を残しているように思います。


それが、スペイン、ドイツ、ではないでしょうか。


ドイツでは、2000年ユーロ敗戦を受けて、協会主導で、トレセン制度の整備や、ミニサッカーができる小さいコートの整備、なにより、指導者育成環境の整備などを進めて行ったそうです。



前回ワールドカップで見せた、ボールタッチ数が少なくテンポの良い攻撃をしていたドイツ代表は、おそらく協会の統一された明確なコンセプトから逆算されたものだと思います。



スペインも同じ。コンセプトを明確にし、それをベースに、代表強化のための、様々な取り組みが行われています。


大会で、スリークォーター制、選手の最低出場時間というルールを作る、などの取り組みも、その1つでしょう。


そういった、JAPAN'S WAY

を本当に実現していくための、長期計画と同時に、短期的に見たときに、

『ワールドカップで結果をのこす』

というコンセプトを実現するために、

様々な戦術変更に対応できる選手の育成、すなわち、サッカーの原理原則の共有も、取り組むべき、課題ではないでしょうか。


その積み重ねが、結果的に、スペインや、ドイツのようになっていく、と僕は考えています。

また、同時に、そういった意味で、協会が、本気で代表の強化を進めていったことによって、結果的に、指導者育成が進み、それによって、より多くの選手がサッカーを楽しむ環境の整備にもつながっている、と思います。

だからこそ、指導者としての学ぶことが、より整理されている、ドイツ、スペインなどから、サッカーコーチとして、学ぶことが多いのではないでしょうか。