育成年代メインサッカークラブの支出と今後必要なアクション
前回に引き続き、育成年代をメインとするサッカークラブの収益構造について。
収入は
・月会費収入
・ユニフォームなど物販
・合宿収入
が主なもの。
では、支出は、というと、
・人件費
・グラウンド等会場費
・チーム、個人登録費、大会参加費
がメインとなってきます。
その他、ホームページや広告、事務所経費など管理費が出てきますし、車両を所有するとなれば車両費も出てきます。
大きくはそんなところです。
グラウンド代は本当に地域によってまちまち。ほとんどかからない地域もあれば、高額になってしまう地域もあります。
変わらないのは人件費。
サッカーの指導=サービス
と捉えて、サービスの質を落とさないために、一人当たりの担当人数を、制限していったとき、
より多くの会員を抱えて、収入を増やそうとすると、必然的に、人件費が高騰していきます。
合わせて、ピッチサイズもサッカーにおいては大きな影響がある項目ですので、グラウンド代にも影響が出てきます。
ですから、そこから脱却するためには、
・一人当たりの会費を上げる
・他から収益を得る
といったアクションが必要になります。
それぞれ詳しく考えてみましょう。
まず、
というのは、塾や、私立の学校などに通じるところですが、
サッカークラブに高額を払って保護者が期待するサービスはなんでしょうか?
一番は、サッカーがうまくなること
だと思います。
でも、サッカーは、必ずしも、いい環境(指導者も含めて)を整えたからといって、受験勉強の、ように、成果を期待できるものではありません。
そこで、クラブ側もあれやこれやと、考えて、
保護者ウケするサービス
=解散通知や、ブログでの活動報告、写真掲載、学校の勉強の補修、塾との提携や、「教育的な価値」
などを、
「付加価値」としてつけるようにして、会費水準をあげようと考えます。
ですが、
会費水準を度を超えて上げる=入会する際の障壁になる
となると、公共性は損なわれていくことになり、普及であったりの側面は失われていってしまいます。顧客=保護者の、サッカークラブへの会費としての相場も、なかなかこれ以上上がるのは、難しいように思えます。
また、スポーツによる、人間教育、を目的とする顧客ももちろんいますが、目に見える「結果」というものが、ないサービスになります。評価のしづらいものに、どれだけの対価を支払えるでしょうか。
サッカークラブに、塾と同じように、月会費3万を支払うのが当たり前になってきたとしたら、すべて、ここまでの話は、覆されるでしょう。
もう一つ
《他の収益の確保》
他の収益、として考えられるものとして、大きくわけて、
・寄付、スポンサーなど
・他の事業からの収益
と分けられるかと思います。
寄付、スポンサーの集め方は、さまざまで、ドイツなどでは、大手スーパーが、街クラブなどのスポンサーとなってる事例も見ましたし、地元の商店のスポンサー、小口で個人スポンサーなど、環境がととのっていますが、現状の日本では、寄付、スポンサーが育成年代主体のサッカークラブに、集まる流れが出来ている、とは考えにくいところがあります。
サッカークラブ自体へのニーズはあっても、月会費を払ってそれはあくまで受益者負担すべきだ、という、価値観も定着しています。
また、サッカークラブは、寄付、スポンサーとなるに、値するものなのか。も考えなくてはなりませんね。
スポンサー契約を結ぶために、広告としての掲出を考え、費用対効果を高められるように、クラブのブランド価値を構築していくことももちろん必要になってきます。
他の事業からの収益を作っていくことも、上記のように、寄付やスポンサーを募ることも、どちらにも共通して必要なのは、サッカーの知識だけでなく、「経営」面での知識です。
この力、知識を持った、「サッカーコーチ」というのは、果たして何人いるでしょうか。
現状の育成年代のサッカークラブにおいて、「サッカーコーチ」ではない人間で、ビジネスのキャリアを積んできている人で、クラブの経営に携わってる人は、果たして何人、何クラブ存在しているのでしょうか。
そこが、現在の育成年代メインサッカークラブのかかえている、大きな問題点となっています。