日本でプロサッカーコーチをやってみた

サッカーコーチという「仕事」に興味のある人に向けて、8年間サッカーコーチを職業としてきた人間の情報を発信していきます

使い捨てのサッカーコーチにならないために

前回に引き続き、サッカークラブの今後に必要なアクションについて。



今後の必要なアクションとしてあげたのは、2点

・会費の増額
・他の収益を確保





そのうち、会費の増額、のためには、活動内容に付加価値をつける、という方法が最も、手頃。


この、「付加価値」


というものは、何に対しての、「価値」

となるのか。


教育ビジネス全てに言えることですが、

教育ビジネスにおいては、サービスを受ける本人と、対価を支払う人が、別です。

つまり、

ここでいう、


「価値」



というのは、

「保護者にとって」


ということです。


帰宅時刻を連絡する、活動内容などを細かくブログで発信する、「教育的」なアクションを増やしていく…


付加価値をつける=他者との差別化を図る

ということでもありますから、陥ってしまう落とし穴は、

目立とうとして、保護者の目を引こうとして、プレイヤーズファーストではなく、「保護者にいかにして、うけるか」

という視点になってしまうことです。


子どもにとって、本来求められていることと、保護者の欲求は必ずしも一致しません。

目を引くために、あれやこれやと、様々な、「教育的な」サービスやアピールを続けている、クラブには要注意です。

根本にあるのは、もしかしたら、プレイヤーズファーストではないかもしれませんね。

この辺りは、日本人に染み付いてる、「体育」という価値観も影響しているように思います。

スポーツを、楽しむ、というよりは、何を得て、子どもが成長したのか?

を重視する。


教育的価値に期待して、高い会費を支払う。


これは、スポーツを使った、教育、つまりは体育を期待してるものです。


そういったプレミア感の創出とは別に、本来のサッカーというスポーツ本来の意味で、「価値」を創出していこうとしている、クラブも少なからずあるかと思います。

質の高い指導者、環境…


ただし、そのためには、保護者へ向けて、そこへの価値を認知させる活動に加えて、安定したレベルの高い指導者の確保、という難しいミッションが生み出されてきます。

いわゆる、若手の使い捨ての指導者では、上記の指導者の質による、プレミア感には繋がらないわけです。

そうなると、二つ目、

他の収益の確保


が必要になってくるかと思います。


あるいは、ボランティアとしての、指導者の活動です。


ですが、欧米とは違い、日本における、就業状況と、サッカークラブの活動時間等を考えると、若くて、自分の生活をないがしろにできるような人にしか、ボランティア精神を持って質の高い指導現場を提供することはできないかと思います。



そう考えると、いまの育成年代メインのサッカークラブには求められるのは、

会費収入以外の、収入を確保できる、

ビジネス的手腕を持った人物

と、言えるのではないでしょうか。さらに、そのサッカークラブの内情を深く理解し、教育ビジネスと、サッカークラブ経営の両方を深く理解した人物が望ましいように思います。



ここまでで、結局言いたいことは、


例えばどこかのスポーツ系の専門学校や大学を出て、日本でサッカーコーチという仕事には、ついてはならない、


ということです。




安易に、募集があるからといって、サッカーコーチの求人に飛びついてしまうと、結局クラブの力になれないまま、若くて、安価な労働力を搾り取られて、終わってしまいますよ、ということです。


いま、必要なのは、


本当に実力のある、サッカーコーチ、

サッカークラブの経営と教育ビジネスに深い理解があり、ビジネス的な手腕を発揮して、スポンサーやマネジメントを通じてサッカークラブに貢献できる人材


なのです。


使い捨ての、サッカーコーチになりたくなければ、海外に出て、サッカーコーチの本格的な勉強をするか、他の職種でもいいから、ベンチャー系の企業につとめるか、他スポーツビジネスで運営している企業に勤めるか、大学院に行って本格的にマネジメントを学ぶか、などのアクションが必要です。