日本でプロサッカーコーチをやってみた

サッカーコーチという「仕事」に興味のある人に向けて、8年間サッカーコーチを職業としてきた人間の情報を発信していきます

日本でサッカーコーチの勉強をするのは至難の技

前回、

安易にサッカーコーチの募集に飛びついてはならない、と書きましたが、それでも、目指したい、という人はいるでしょう。

例えばアルバイトで、コーチを経験した時、子供たちの笑顔や、成長していく姿を見てしまい、その時の特別な感情を経験してしまうと、なかなかやめられません。


そんな方には、留学をお勧めします。


なぜか。



はっきり言います。



日本のサッカー協会公認指導者ライセンスの講義の内容が、驚愕するほど、薄っぺらい内容だからです。


これは、日本サッカーの大きな問題点であると、僕は思います。


根本的な、日本サッカー協会の考え方として、


「選手にまかせる」


というような、考えがあります。

「環境を与える、あとは選手が勝手に育つ。」

「環境とは、メニュー。メニューを真似してトレーニングする。あとは褒める。それで選手は育つ」


そう思っているフシがあります。


ですが、それでは、

いわゆる、才能がある、覚えの早い、選手は伸びますが、そうではない選手は、伸びません。

そして、そういった環境から学んでいった選手たちは、その選手「オリジナル」な考えで成長していくか、「感覚」で、コツをつかんで成長していくことが多くなりますから、そうすると、いずれ、壁にぶつかってしまった時に、立ち返る場所がありません。


それを防ぐために、本当の意味で草の根からサッカーを楽しんでいく環境を作っていくためには、「サッカーを楽しむ術」を教えていかなければいけません。

牧場の中でただ走らせていても、レースで活躍できる競走馬は、ベースとなる体づくりにはなるかもしれませんが、レースで勝てるようにはなりません。
トレーニングが必要です。

駆け回れる、牧場(環境)だけ用意しても駄目です。


その考えは、指導者に向けても、サッカー協会は同じスタンスです。


試しに、最も下のカテゴリである、D級から、受講してみてもらいたいと思います。


講義はざっくりとした話で、

なぁなぁの指導実践、いつの間にか受講が終わって、

受講後、チームに戻った時に、

何をやろうと思うのか?

おそらく、

テキストに書かれてるメニューを試してみるくらいしかないのでは、と思います。


そして、うまくいかなかった、チームが勝てない!となった時に、自分のこれまでのプレイヤーとしての経験に頼るか、勝手に自分で考えたオリジナルのトレーニング方法などに、行ってしまうのです。

あるいは、選手たちのせいにしてしまう、と。

僕は、よく少年団のチームや高校サッカー部でありがちな、選手を叱り飛ばしてる光景というのは、上記のような指導者のライセンス講義内容の薄っぺらさからきてると、本気で信じてます。

なにも、休日にまで現場に立とう!という、パッションのある人たちが、好きで選手たちのせいにして、ストレスのはけ口としてるわけではないと思います。(中にはその場合もあるかもですが…)選手たちのせいに、してしまうのは、どのように改善していけばいいかの、道筋が見えないからです。



だから、日本では、とにかく、特待生などを使って、選手の質を高めるのに躍起になっている高校が増えたり、なんとか理論、やヨーロッパや南米のトップリーグでは見られないような、ドリブル偏重のおかしなサッカーが見られたり、なんとも不思議な、オリジナルな環境になってしまうのでは、と思います。

パッションがあるがゆえに。


「海外から学ぶ必要はない」と
とんでもないことを言い出す人が言いだしたり、頑なに、「オリジナル」にこだわり続けてしまう人々は、


1850年頃から歴史を積み重ね、様々な失敗を繰り返し、何千何百と敗戦を乗り越え、各国が工夫し、試行錯誤し、悔しい思いを噛みしめながら、なんとか発展をさせてきた、様々な努力を、否定してるわけです。

と僕は思っています。



そんなわけで、8年間やってみて、日本でサッカーコーチをやっていくと、自分の頭で考えるしかなく、自分の経験から、はたまた、ネットなどから得た知識などから、自分で、学んでいくことしかできず、それでは、選手たちのことを考えると、本当に不十分です。


8年間やってみて、一応県で優勝して、Jリーグ下部チームと複数対戦してみて、対戦相手チームのコーチ達から感じることは、同じことでした。

あ、オリジナルなんだな、と。苦しんでるな、と。

あるいは、そのオリジナルに、なぜか満足してしまって自己陶酔している様子であったり…



まぁ、とにかく、


サッカーコーチとして、子供たちのために、本気でやりたいと思うなら、早く海外に出て、キチンと指導者の勉強をしましょう、そういうことです。


そして、現場で起きてる不思議な現象、体罰のような問題が起きる、根本には、サッカー協会による、指導者養成事業の失敗があると、確信しています。