日本でプロサッカーコーチをやってみた

サッカーコーチという「仕事」に興味のある人に向けて、8年間サッカーコーチを職業としてきた人間の情報を発信していきます

戦術コンセプトの具体例【1-1①】

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これから、『戦術』というものについて、具体的な話をしてみたいと思います。

1-1から、4-4へ、11人ー11人へ、とフラクタルに戦術構造は繋がっているものと捉えます

※ただし、実際にトレーニングに落とし込んでいく順序は、この順序が必ずしも正しいとは限らない。年代にもよるし、選手たちの状況にもよる。
しかしながら、これらがベースとなっていることは、間違いないと考えているし、少人数から人数が増えていく、というのも、理解を進めていくためには大切なことだと思う。


※また、基本的に、これらの原則などは、エリアや人の特徴によって、変化していくという前提があることを、忘れてはならない。



【1-1】
局面
『パスを受ける前から、受けるところまで』
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攻撃
《目的》
パスを受けること。
どこで?どうやって?いつ?

守備
《目的》
ボールを奪う、進ませない




攻撃
【ボールを受ける位置の優先順位】
①相手より、後方(相手ゴール側)で受ける
→相手の背後で受けることにより相手に邪魔をされずにゴールに近づくことができる

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②相手と同じ高さで受ける
→ワンタッチで、相手の背後に入ることができ、①と同じ状況を作り出せる。背後へのパスコースがない場合にポジションを取る
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③相手より手前(自陣ゴール側)で受けて、前を向く→ボールを守る

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→背後へ抜け出せない場合、相手より手前で受ける、その際に相手との距離があれば、前を向く。

前を向けない場合は、ボールを保持するために、身体を使って相手にボールを触らせない

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・ボール、自分、相手、の順の位置関係を保つこと。
・腕を使って、相手を抑えること。その際には相手の胸を抑えることで、相手の力を抑えることができる
・相手と、接触する際には、地面に両足をつくこと
・上半身を倒して前かがみになってはいけない。周囲が見えず、サポートが見えなくなる


『外す』
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・視野との駆け引き
後述するように、守備側は、同一視野にボールと相手を入れている状態が良い状態であるから、相手の『視野』と、駆け引きすることが、重要な事柄になる。

A
優先順位通り、相手の背後にそのまま入り込めたなら、相手はマークすべき相手を視野に捉えられていないことになるので、ボールの持ち手とタイミングを合わせて、ボールを受ける。
相手が、攻撃選手を直接視野に入れてマークをしてきたとして、ボールから目を離しているのであれば、ボールの持ち手と同じくタイミングを合わせることで、マークを外すことに成功する。

B
相手の視野から外れるように動き出し、相手が同一視野に入れるために下がったとしたら、ボールの出し手とタイミングを合わせて、優先順位②、③で受けることができる。



・相手の逆を突くことで、最大限に相手との距離を取る
《受けたい狙いと、逆の動きを入れる》

①、②、③それぞれの自分の狙いとする位置に応じて、受けたい場所と逆の動きを入れて、相手を動かすことで、マークが外れることになる。
①で受けるなら、手前→ウラ
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②で受けるなら、右⇄左、ナナメなど
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③で受けるなら、ウラ→手前
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その際に、二歩以上のアクションを基本とする
→一歩で相手の重心が傾き、二歩目のアクションによって、相手の足が進行方向に出る。これによって逆の方向へ相手が動き出すために、ブレーキがかかる。
つまり、相手選手は、一度、止まって、そこから方向転換をすることになる。
一歩目重心が傾いただけでは、逆側に動き出すことに、ブレーキがかからない。




守備
相手をマークすることによって、ボールを奪う、または、前に進ませない。

《マークにつく、とは》
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・相手と、ゴールを結んだライン上に立つ
・相手と、ボールを同一視野に入れる
※その際、ボールを直接視野、相手を間接視野に入れる
→相手を直接見ることによって、ボールから目を離すと、ボールの出てくるタイミングがわからず、相手より早く反応することができないし、パス以外の選択肢に対しての対応ができなくなる

・マークとの距離
相手に背後を取られず、インターセプトが狙える距離

《優先順位》
相手のパスをそのままカットする
→相手と入れ替わることができ、攻撃にスムーズに移行しやすい
②トラップした瞬間
→トラップが、ずれたら奪うチャンスが生まれやすい
③前を向かせない
→コントロールされてしまったら、前を向かせないように、距離を詰める
※④ディレイアンドジョッキーと昔に聞いたことがあったが、遅らせるなどは、その他の状況によって変化するので、1-1に関してはここまで。


《マークについてる位置から相手へ距離を詰める》
その行為を、アプローチ、と定義する
ボールの移動中に、寄せること。
ボールの持ち手の持ち方、目線、蹴り方を見ることで、予測すること。